メタルギア風女子高寄宿舎潜入作戦事実をちょっと脚色して、メタルギアソリッド風にしてしました。
俺は高校三年生…専門の推薦にも合格して、3学期は寮から出て悠々自適に自宅で過ごしている。
メタルギアで例えるなら、傭兵業を引退したと言って良いだろう。
そんなある日、俺に電話がかかって来た。
「スネーク…寝ているところを起こして悪かった」
「大佐か!久しぶりだな。エレベーターで大学決まったと聞いたから、こっちに戻ってくると思っていたのだが」
大佐は耶宵という名で、寄宿舎ですごしている。
中学生の頃、俺たちは男女の仲であったが、高校に入ってからは疎遠気味だった。
なんせ俺は、全寮制学校。耶宵は、寄宿舎付きの名門女子校だ。合う機会などほとんど無い。
「帰れなくて悪かったな、スネーク。私は、後輩達の家庭教師で忙しいのだ。既に3人も受け持っている」
「相変わらず学年トップか?」
中学生の頃の大佐は、凄い成績だった。
「いや、そうでもない。だが、これは学校の意向による強制なのだ…私に決定権はない」
「そうか…で、俺に何か用なのか?」
「ああ。君に任務を依頼したい」
「任務?」
「そうだ。君に依頼したい任務は二つ。一つはコンビニなどで、こちらが指定する物資を購入すること。
そして二つ目は、それらの物資を私の元まで届けることだ」
「届けるって…そこは男子禁制だろう?以前、お前に呼ばれて学園祭に行ったら門前払いにされたんだぞ?」
「あの時は、悪かった。まさか、学園祭まで規制されているとは思っていなかったのだ…」
「それで、その任務達成による成功報酬は?」
「久しぶりに、私に会えると言うだけでは不満か?」
「ああ。リスクが大きすぎる…」
「そうだな…もし見つかれば、警察が召還されて君は補導されてしまうだろう。
そうなれば、卒業間近の身で退学クラスの罰則を食らい、進学の道も閉ざされてしまうだろう…
君の人生至上、最悪の汚点として刻まれてしまう」
「そこまで解っていて、何故俺に言う?弟のREIに頼めばいいだろう。奴なら、たいした問題にはならないはずだ」
「REIは…生意気なことに、私への一切の協力を拒んだ。奴には制裁が必要だろう」
「俺だって嫌だ!」
シンと静まりかえって…
「スネーク…私は、
君の女性関係を細かい所まで知っている。壁に耳あり障子に目ありだ」
「…何が言いたい?」
「君がこれまで行ってきた、あらゆる背徳行為を全て水に流してやっても良いと言っているのだ」
「…」
「それでも不満か?」
「それならば俺にも言い分がある。昔の友人達から、大佐の浮気行為を目撃したと連絡が多々あった。
それでも俺は大佐の責任を追求しなかったんだぞ?」
「私の場合は、金持ちの馬鹿ガキどもから、金品を巻き上げるだけだ。はじめからそこに愛などは存在しない。
だがスネーク…君は違う。君は、性交が目的であっただろう。違うか?」
「た、大佐だって抱かれただろう?」
「それは誤解だ!私はガキどもに体を委ねたことはない」
「その証拠が出せるとでも言うのか?」
「証拠はないが、証人はいる。私の場合は、ただの合コンだったのだ。必要以上に、彼らと関わってはいない」
「証人はその友人達と言うことか?」
「そう言うことだ。もし、私の友人達をも疑うというなら、私達の関係はそれまでだ」
「……………解った。信じる」
信じてなどいないが、そう言わざるを得ない。
大佐は俺の人生的なスポンサーでもあるから、関係を絶たれたら、そのダメージは計り知れない。
「だが、それとこれとは別問題だ。この任務はリスクが高すぎる…」
「………」
大佐は後ろから誰かを呼んでいる。
「あの…スネークさんですか?私、里沙って言います。きょ、え?」
受話器を離して、小声で何かを喋っている。
大佐がこの里沙とか言う女生徒に指示を送っているようだ。
「今日待ってますから必ず来てくださいね!」
相手が変わる。
「あ、代わりました。聡美です。宜しく御願いしますね。物資待ってます〜」
どうやら大佐は、若い女性で俺を釣りたいらしい…
「スネーク、聞いたか?今のは私の後輩達だ。
中学生のな」
「………」
「来てみたいとは思わないか、ここは君達男性にとって、秘密の花園だろう?
しかも、中学高校共に同じ寄宿舎に住んでいる」
「何が言いたいんだ!」
痛いところを突かれて声が荒くなる。
「ククク…スネーク。私は君の趣味は知っていると言うことだ」
「………」
「成功報酬として、特にお勧めの可愛い娘を何人か紹介してやってもいいぞ?」
「ク…大佐め…」
「私にとっては、一緒に暮らしている妹のようなものだ…皆、どんな娘かよく知っている」
「年上好みで、優しく美人で、家庭的な…そう、まるで
マルチのような…」
「わかった…」
「ん?何かね、スネーク」
「この任務、引き受けよう」
「そうか、来てくれるか!」
「報酬は…忘れるなよ」
「ああ、解っている」
俺はゆっくりと立ち上がる。
「それでは、購入して欲しい物資のリストを読み上げるから、メモを取ってくれ」
俺はスーパーで買い物をした。
タバコばかりだ…相当テンパっているらしい。ヴァージニアスリムにマルボロ…メンソールが多いな。
合計六カートンくらいのタバコと、凄い量の菓子やジュース・酒類を購入して店を出る。
かなり重い…だが、頑張ろう!
途中でREIと合流し、そこでPHSを受け取る。
ただ…ニヤニヤ笑っていたのが気になる。この任務には何か裏があるようだ…気を引き締めて行かねば。
一度バッグの中に全てのアイテムを詰める。
旅行用バッグがいっぱいになってしまった。しかも、瓶があるから粗末な扱いはできない…
極めて困難な任務になりそうだ。
夜8時…作戦決行の時間だ。
PHS無線を使う。
「大佐、学校の前まで来たぞ」
「そうか。よし!作戦を第二段階に移行するとしよう」
「どう潜入したらいい?正門は、門こそ閉じているが、見張りもいない状態だ」
「まて、スネーク。正門は罠だ!カメラが仕掛けられている。裏門も同じだ。」
「ならどうしたらいい?」
「スネーク、学校校舎側のプールに向かえ。その近くに非常用出口がある。その鍵は外しておいたので、
そこから進入しろ。ただし、職員室に近いから注意してくれ。学校帰りの教員に見つかるな」
無線が切れる。早速、そこに移動することにした。
プール…プール…無いぞ。と言うより、どこがプールなのかわからん。
大佐から電話が来た。
「スネーク。進入したら、鍵を掛けてくれ。それを言い忘れただけだ」
「大佐、プールの位置がわからん」
「プールは、校舎のすぐ近くだ。一目で分かる」
…あれか?
妙に高い塀に囲まれた一角がある。女子校のプールなら、覗き対策でああなっている可能性はあるだろう。
目論見通り、そこに見窄らしい出入り口があった。
ドアは簡単に開いたので中に進入する。
「大佐、進入に成功した」
「そうか。次は、寄宿舎まで来てもらう」
「寄宿舎か…どこがそうなのかわからん」
「大丈夫だ。今の時間ならば、殆どの部屋で電気が点いているだろう。明るい建物がそれだ」
「なるほど…俺の寮に似てる」
「一緒にしてもらっては困る。ここの防犯対策は完璧だ…中から手招きがない限り、進入できないだろう」
「それで、どんなルートを通ればいい?」
「校舎の裏を通って、まっすぐに向かってくれ。この時間になれば、そちら側に人がいないだろう」
「解った。行動に移る」
校舎裏は、確かにまったく人気がない。
それでも静かに移動を開始した。
ゴソゴソ
声がする!藪の中に隠れた。
「大佐、このルートは駄目だ」
「何故だ?スネーク」
「誰かが居る…」
「何だと!?誰だ?」
スッと人影を見る。
「赤っぽいネクタイをした痩せ形の男と…」
「………」
「グレイのスーツを着たソバージュの女だ。あ、キスしてる」
「マジで?マジで!」
電話先から、こそこそと何かを伝える声がする。
その途端に、キャキャー凄い声がした。
「スネーク!任務を追加する。その男女の行動を、出来る限り詳しく、具体的に実況してくれ」「………了解した」
どうして女はこういうのに関わりたがるのか?
この二人は、この学校の教職員だと言うことは解る。人の求愛行為を覗くとは…何とも趣味が悪い。
「長いキスだ」
「スネーク、ビデオカメラは持っているか?」
「持っているわけ無いだろう…有ったとしても、今の時間は、暗視カメラでなければ撮影できない」
「残念だ…スネーク。本当に残念だ」
そんなことを言っているうちに、男が服を脱がし始めた。
「男が女の服を脱がし始めた…予想に反して白いブラだ。男は女の胸を揉み始めている」
うおーって大音響がリアルタイムで聞こえてきた。どうやらスピーカーに切り替えたらしい。
「男の手は胸から下に移動している。く…ここからではよく見えない」
「スネーク!見える位置に移動して実況をしろ。
これは命令だ!」
「無理だ。それでは、向こうからも見えてしまう」
「くうう」
「大佐、女がよがり始めたぞ」
「その女は、どんな表情だ?」
「何とも言えないって顔だ…お、女がしゃがんだ」
もっと具体的な性行為に移るつもりらしい。
「スネーク…頼む。それが、見える位置に移動してくれ…」
「俺もそうしたいが、無理だ」
男もしゃがみ始めた。もうここからではまったく見えない
「だめだ…男もしゃがんでしまった。まったく見えない。次の行動を指示してくれ」
「く…
この役たたずめ…。まあいい、それでは、校舎正面は見つかってしまうので、2階から進もう」
「校舎内に入るのか?」
「そうだ。近くにある階段を上って、2階を静かに進んでくれ。決して走るなよ…1階には職員室がある」
「解った。作戦に移る」
フウ…フウ…と声は大きくなっているが、そこを離れて学校の校舎内に入った。
確かに階段があり、そこを上る。
2階廊下は真っ暗だ…静かに進み始める。
大佐から連絡が入る。
「スネーク、その近くに生物化学室があるだろう?」
「ああ、ある」
どの学校にも同じようなプレートがドアの上にあった。
「そこに入ってくれ」
「何故だ?」
「いいから!」
ドスがきいている…怖い。
鍵がかかってないので生物科学室に入る。中は真っ暗で何も見えない。
「大佐…真っ暗だ。何も見えない」
「電気は付けるな。月明かりくらいはあるだろう?カーテンの隙間から下を覗いてくれ。そおっとな」
覗いてみると、さっきの男女が本番真っ最中だった。
「よし、見えるな!
実況を再開してくれ!」
「いや、さっきの男女は見あたらない。どうやら移動したらしい…」
もう時間を潰したくないので、切り上げることにした。
「な…なんだと…」
力のない声が帰ってくる。
「そ…そうか…………」
ガックリと、うなだれている姿が目に浮かぶ。
「では移動して、非常階段の方から降りてくれ」
「了解した」
愛し合う男女を祝福しながら、移動を再開した。
非常口と書いてあるドアを開けると、明るい建物が3戸見えた。
団地のように同じ建物が並んでいる。
「大佐、見えたぞ」
「よし。では、3号棟の3階6号室まで来てくれ」
「それこそ無理だ。人の出入りが激しくて、そこまで移動できない」
「………抜け道がある。使いを出そう。その非常階段の下に隠れていてくれ」
「解った」
階段を下りて、段ボールの陰に隠れる。
「大佐、さっきの人たちはいったい誰なんだ?」
「恐らく、国語の佐伯先生と英語の柴田先生だ。」
「あんな所でするとは…変態なのか?」
「いや、違う。二人とも結婚しているから、不倫だと思う」
それは凄い物を見てしまった。
「勇気あるな…こんな所で不倫とは」
「証拠が残れば面白いことになったんだがな…まあ、仕方あるまい」
悪女っぷりは昔と変わらない…
寄宿舎の方から、誰かが歩いてくる。
ショートカットの女だ。背が低いのか、子供のようにも見える。
「大佐、誰か来る。ショートカットの女だ」
体操服を着ているのか、胸に大きく名前が書いてある。
「高谷って女だ。こいつが使いか?」
「そうだ。呼びかけろ」
高谷に向かって、手を振る。
気が付いたらしく、高谷はこちらに向かって小走りで近づく。
「スネークさんですか?私、高谷です」
「スネークだ。早速だが、案内してくれ」
「はい。じゃあ行きましょう」
高谷は、人気のない方向に歩き出した。俺もそれに続く。
「スネーク」
「大佐か、どうした?」
「高谷と合流したようだな」
「ああ」
「では、これから高谷の指示に従って行動してくれ。彼女がゴールまで導く」
「解った」
「ところで…スネークよ」
「何だ?」
「高谷は気に入ったか?」
「え?ああ、可愛い娘だ。それがどうした?」
「それは良かった…その娘が成功報酬の一人だ」
「なに!?」
ふっと高谷を見る。そう言われるとかなりの美人な気がする。
「後三人が此処で待っている。早く来ることだな」
通信が切れる。
高谷はこちらをぽけーっと見ている。
「急いで行こう」
「え、はい」
急ぎ足になる。高谷がこのレベルならば、もう三人のレベルもかなり期待できる。
しばらくすると、人気のない裏路地にたどり着いた。
「スネークさんが来た道のりは、死角になっているんですよ。このルートで夜の街に繰り出していくんです」
高谷が熱心に説明する。
ほお…つまり、あのプールの出入り口で張っていれば、邪なチャンスも出てくるわけだ…良いことを聞いたな。
「ここです。この階段を上れば、すぐに先輩の部屋です。」
非常口らしい、螺旋階段の入り口に来ていた。すぐさま上り始める。
3階のドア…開けるのを躊躇う。
「高谷、人がいるか確認してくれ」
「はい」
先に高谷が入る。少しキョロキョロした後…
俺にOKサインを出した。
「スネーク」
大佐から連絡が入った。
「大佐、どうした?」
「まだか?もう待ちくたびれたぞ」
「今、3階だ。間もなく到着する」
ガラガラ
いきなり、隣のドアが開いた。7号室だ。
「あ」「あ」「あ」
俺と高谷、そしてその部屋から出てきた女性は硬直する…
「スネーク、何があったんだ?おい、スネーーーーク!」「き」
この女、叫ぶつもりらしい!とっさに口をふさいだ。
高谷は、大佐の部屋のドアを開く。
7号室の女は、激しく抵抗しながら涙目になってきた。…こりゃヤバイ!
8号室から大佐が出てくる。
「スネーク!…げぇ水野」
大佐は、7号室から出てきた水野という女性を見て、あからさまにやな顔をした…
「スネーク、とりあえず水野も連れ込め」
「了解だ」
嫌がる水野ごと、大佐の部屋に入る。
「大丈夫、大丈夫だから」
俺に口をふさがれたままの水野を大佐はなだめている。
その間、部屋を見回す。
さっぱりとした部屋だ。物持たずな性格は相変わらずだな…ベッドが一つと言うことは、一人部屋らしい。
今、この6畳1間くらいの部屋には、6人の女性が居る。大佐と水野、高谷。
そして、見たこと無いのが3人…三田、河野、宮島。色違いの体操着を着ている。どうやらこの娘達が
残りの成功報酬らしい。みんな美人で良かった…
「スネーク、もう手を離しても大丈夫だ」
俺はそっと手を離す。
「ふぅ…耶宵さん、これはどういう事ですか?」
水野という女性はメッチャ怒っている…
「それに、この人は誰です?」
キッと俺を睨む。その目は鬼のようだが、これはこれで、なかなかの美人だ。
「水野…これを見てもそんな口がきけるかな?スネーク、物資を」
俺は黙って、持ってきた荷物を開ける。
ギッシリ入ったタバコや酒、菓子にジュース。
それを見た、水野という女性の口元が少し歪んでいる。
「スネーク…ここはね、売店というコーナーが存在しないの。こういう物は、外に出なければ手に入らないし、
持ち込むことも許されない。厳しい所なの」
「俺の寮よりやばいな…」
「そう。此処での一番の誘惑は…」
ウィスキーを紙コップに注ぐ。
「これだ」
それを水野に差し出す。飲んでもないのに頬を紅く染めていく…どうやらこの娘、酒好きらしい。
水野はそれを受け取り…一気に飲み干した。なるほど…誘惑に負けたのか。
ふらふら歩いて、床に腰掛ける。どうやら俺を歓迎してくれるらしい。
大佐は、俺が持ってきた物資を確認している。
「うむ。全部あるようだな…ご苦労だったスネーク。
では、お帰り願おうか」
「なんだと!」
「成功報酬の全て条件は満たしている。久しぶりに私の顔は見れたし、過去の浮気も水に流した。
それと、私の後輩を紹介するんだっけ?高谷に三田、河野と宮島。うん、紹介終わり」
「そんな、ガキみたいな…」
「スネーク…君は今、自分の立場が解ってないみたいだ。私が此処で悲鳴を上げたらどうなると思うかね?」
「ひ、卑怯な!」
「………」
大佐は冷たい目で俺を見る。
「どうしても此処に居たいというならば…一つだけ条件がある」
「…なんだ?」
「私の後輩達に手を出さないこと。それだけだ…」
「酷いよ…」
「嫌なのか?」
「解った。手を出さない」
「そう!それでいいんだ」
大佐は俺の肩をバンバン叩いて、
「さて………・
ヴァージンヴァージン」
知らない人が聞いたら誤解されそうな事を言いながら、ヴァージニアスリム(煙草)に火を付ける。
「ん〜んまい。最高!」
俺も座ってタバコに火を付ける。
「スネークさん!さっきの話をもっと詳しく教えてください!!」
高谷が俺の近くに寄ってくる。
「さっきのって、あの不倫の奴か?」
「はい!」
「不倫?」
水野が反応する。
「ああ、ここに来る途中、佐伯と柴田の不倫を目撃したんだってさ」
大佐は、ビールを開けながら答える。
「それはそれは…是非詳しく!」
水野まで寄ってくる。どうして此処の連中はこういう話が好きなんだ?
「実況は録音済みですから、回想でお願いします」
他の娘達も参戦してくる。
そんな感じで寄宿舎の夜は過ぎていく…結局、報酬は騙されたが、楽しかったのでよしとしよう。
実はあの後、大佐には秘密だったのだが…水野とはそれからしばらく連絡を取り合っていた。
後にばれるのだが、
水野が相手ならどうでも良いとのことだった。
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